VOC(揮発性有機化合物)規制の簡易測定に最適なハンディVOCセンサー

サイトマップ
測定器

VOC測定器

揮発性有機物質センサー(VOCセンサー)

はじめに
 昨今、揮発性有機物質(volatile organic compounds;VOC)や水中(または海水中)に溶存(又は分散)している有機物質(dissolved organic compounds;DOC)が環境汚染問題としてクローズアップされています。ポータブル有機物センサーは、それらの有機物を吸収する高分子薄膜と光学式センシング技術により、VOCおよびDOCを現場で安全かつ簡易にppmレベルでの高感度検出する事が可能です。

原 理  
図1に示す干渉増幅反射法(Interference Enhanced Reflection Method;IER法)では、ある角度で入射された光源からの光の、高分子薄膜の空気側(又は水)と基板側からの2つの界面からの反射光同士の干渉現象を利用します。したがって、測定される反射光強度は、高分子薄膜の光学膜厚(屈折率と膜厚の積)に対して、図2のようにサインカーブ状に変化します。例えば、ある膜厚では、2つの界面からの光の位相が強め合うことにより膜厚の増加と共に反射光強度が増加し、また、別の膜厚では、2つの界面からの光の位相が弱め合うことにより膜厚の増加と共に反射光強度が減少し、さらに、反射強度の減少モードから増加モードへ移行する膜厚では、反射強度がゼロとなる無反射状態(Anti-Reflective Coating;ARコート膜)となります。

図1 干渉増幅反射法(Interference Enhanced Reflection;IER法)

図2 IER曲線
VOCまたはDOCと接触した高分子薄膜はそれらの有機物質を吸収または吸着する事により膨潤し、光学膜厚が変化します。その膜厚変化に応じた反射光強度の変化をフォトダイオードで受光して電気信号に変換してセンサーの出力として取出します。

図3 VOCセンサーの概略

VOCセンサー技術
図3に示すVOCセンサーでは、センサーチップとして、高屈折率基板(Si)上に高分子薄膜をコーティングしたものを用います。この薄膜は、大気中の種々のVOC成分と接触すると瞬時に効率良く吸収して膨潤し、その結果VOC成分の濃度に依存して膜厚と屈折率が変化します。この変化をIER法により即座に検出することが出来ます。光の入出力に光ファイバーを利用すれば、遠隔監視にも応用可能です。

図3のように、光源とセンサーチップと光検知器の3つの部品からなる基本構成のセンサーで、例えば図2のIER曲線上の楕円(青色)で囲んだ部分に相当する膜厚の範囲(初期膜厚450nm;反射率0.2 〜 到達膜厚500nm;反射率0.6)で測定すると、図4のような応答曲線を得ることができます。

図4 VOCセンサーの信号の濃度依存性
VOCセンサーの測定例
図6は、図5のようなフローセル型VOCセンサーを構成し、空気とトルエンベーパ100ppm(ガスバッグ内に調整)を、順次交互にポンプ速度5L/分で吸引した時のVOCセンサーの出力信号を示しています。測定結果は、ベーパ濃度に対してVOCセンサーの応答が可逆的で、応答時間と戻り時間は5秒以内であることを示しています。

図5 フローセル型DOCセンサーの概略構成

図6 フローセル型VOCセンサーのトルエンベーパに対する応答
図7は、ベーパ濃度100〜12000ppmのトルエンに対するVOCセンサーの出力信号を示しており、また、図8はVOCセンサー5台のトルエンベーパ(250〜1000ppm)に対する応答のバラツキを測定した結果であり、ほぼ線形で±5%程度の応答バラツキであることがわかります。

図7 VOCセンサーの応答のトルエンベーパに対する濃度依存性